強靭なアゴを持つ水辺のハンター『ワニ』。
噛む力は地上最強とも呼ばれ、鋭い歯と強靭なアゴで獲物を食いちぎる姿はまさに恐怖そのものですよね。
小さい頃にワニのパニック映画を観た時はあまりの恐怖で「ワニがいる地域には絶対に旅行へ行かない」と心から誓ったものです。
しかし先日、テレビを見ているとそんな私の価値観を変えるような一つの情報が飛び込んできました。
『ワニの口は人間の握力で抑え込める』
ワニにそんな弱点があるとは考えもしませんでした…
「これが本当なら先手必勝じゃないか!ばったり遭遇しても余裕じゃん!」
と、ほんの一瞬だけ思いましたが実際に遭遇しても怖すぎて多分動けません。
でもこの情報が本当なのかは正直気になるところ。
ワニと対峙して絶体絶命になった時、この知識が本当ならワニへの捨身タックルも辞さない覚悟が出来ます。
という訳で今回は『ワニの口を開く力』についていろいろと調べてみたいと思います。
噛む力と比べると口を開く力は非常に弱い

『口を開く時に必要な筋肉』と『口を閉じる時に必要な筋肉』はそれぞれ異なり、物を噛んだり砕いたりする機会が多い生き物は必然的に閉じる時に必要な筋肉の方が発達していきます。
ワニの場合は口を開くことよりも物を噛むことの方が生きる上で重要だったので閉じる筋肉がどんどん発達していったのですが、開ける筋肉はそこまで重要じゃなかったのでほとんど発達しなかったという訳ですね。
中型サイズのワニの口を開く力がおよそ30kgと言われているので、成人男性の平均握力45~50kgぐらいあれば確かに勝てそうな気がします。
成人女性の場合だと平均握力が25~30kgなのでちょっと怪しいですが、ジャンケンで考えれば握る側のパーの方がグーよりも強いのでギリギリ勝てそうな感じですね。
ちなみにチョキでワニに勝った生き物も中にはいます。
出典:https://goo.gl/yG9SZR
(※上の画像は背後から忍び寄ってきたワニの気配をカニが察知し、瞬時にハサミで口を封じた瞬間の写真になります。)
このカニも『ワニは口を開く力が弱い』という豆知識をちゃんと知っていたみたいですね。
自然界では割と一般常識なのかもしれません。
大型のワニは無理
開く力が弱いと言っても大型サイズになれば開く力もそれなりにあるので、一人の力では正直厳しくなります。
ワニの生態に詳しい専門家の方が口を開く時の力についてツイッターでこんな発言をしていました。
ワニは口を開く力が弱いというのは閉じる力に比べての話で、クロコダイルなどの大型種はこの限りではありません。ノーザンテリトリーでは中型以上のイリエワニの拘束にはレンジャー2~3人がかりで径30mm以上のロープと複数のケーブル・タイ(欧米で警察が手錠代わりにも使う)を併用して行います
— 福田雄介(ワニ研究者) (@GingaCrocodylus) 2015年6月29日
確かに、下の動画みたいなサイズのワニが目の前に現れても人間の握力で抑え込めるとはとても思えません。
(※動画のワニはアメリカ:フロリダ州のゴルフ場に実際に現れたワニだそうです)
圧倒的な存在感ですよね。1ミリも口を閉じれる気がしません。(そもそも手が届くのか?)
噛む力最強ランキング!

噛む力に比べて開く力が弱いという事はよく分かりましたが、ワニの噛む力ってどれだけすごいのでしょうか。
カメの甲羅を簡単に砕いちゃうくらいだから自然界でもきっとトップクラスのパワーなのは間違いなさそうです。
(※衝撃的な映像なので閲覧注意!!)
という訳で現存する動物たちの噛む力をランキング形式でご紹介したいと思います。
1位:イリエワニ 5309万Pa(人間の48.2倍)
2位:ナイルワニ 3447万Pa(人間の31.3倍)
3位:アメリカアリゲーター 1465万Pa(人間の13.3倍)
4位:カバ 1241万Pa(人間の11.3倍)
5位:ジャガー 1034万Pa(人間の9.4倍)
6位:オオメジロザメ 931万Pa(人間の8.5倍)
7位:ゴリラ 896万Pa(人間の8.1倍)
8位:ホッキョクグマ 827万Pa(人間の7.5倍)
9位:ハイイログマ 800万Pa(人間の7.3倍)
10位:ブチハイエナ 758万Pa(人間の6.9倍)
噛む力の単位はPa(パスカル、N/m2)にしています。このPaだけだと分かりづらいので、実例として「人間の噛む力は110万Pa」、「60kgの人がハイヒールで踏んだ時の圧力は1200万Pa」を挙げておきます。
引用:ailovei
表彰台をワニが独占する形となりました。ワニのアゴはやはり地球最強のようです。
めちゃめちゃ硬い物を口に入れてもワニにとっては私たちがプリンを食べるような感覚と一緒なんでしょうね。
恐怖のデスロール
ワニの歯は噛みつくのには適していますが肉を切り裂くのには全く向いておらず、
・突き刺す
・押さえる
ことに特化した形をしています。
では獲物に噛みついた時、ワニたちはどうするのか。
噛みついたままボーっとしててもお肉は胃に入ってきませんよね。
そこでワニたちが行うのが『デスロール』と呼ばれる行動で、獲物に噛みついたまま自分が回転することで食べやすいサイズまでちぎるのです。
下の動画はデスロールの参考動画になります(※1:20辺りが分かりやすいかも)
この凄まじい回転力と噛む力が組み合わされば獲物はひとたまりもないでしょう。
まさに正真正銘の『デス』ロールですね…
ワニの厳しい生存競争

ちょっと余談となりますがワニの赤ちゃんが大人になる確率ってご存知ですか?
口を開ける力が弱いという弱点があっても、最強のアゴを持つ母親に守られながら育つとなればほとんどの赤ちゃんが大人になれそうですよね。
しかもワニはイルカと同じく半球睡眠が可能なので、母ワニは24時間外敵に注意を払うことが出来ます。

こんな好条件なら少なくとも半分の50%くらいは大人になれそうな気がしますが、実は赤ちゃんワニが大人になれる確率はたったの『1~2%』ほど。
ワニが一回の出産で産む卵は20~100個ほどとなりますが、大人になれるのは1~2匹いるかいないかぐらいなんです。
ほとんどの赤ちゃんワニは肉食獣や大型の鳥、そして魚にすら食べられてしまうのだとか。大人になれば獰猛だと恐れられるワニも、赤ちゃんの頃は危険でいっぱいなのです。
生存確率が低い事で有名なマンボウと比べればまだマシですが、ワニの生存確率がここまで低いとはあまり想像できないですよね。
まとめ

・口を開く筋肉は重要じゃないのであまり発達していない
・大型サイズのワニになると人間の握力程度では抑えられない
無敵のように見えるワニでも意外な所に弱点はありましたね。
サイズにもよりますが、もしワニに追い詰められても上から口を閉じてやればピンチから抜け出せそうです。
ちなみに実践する時は服を脱いでワニの頭に被せて、視界を奪ってから行うといいみたいですよ。