よちよち歩きがとってもカワイイ動物『ペンギン』
ペンギンと言えば仲間と群れを作っていつも一緒に行動をしているイメージがありますが、そんな彼らを見ていると
「仲間のことが大好きなのかな?」
「1人でいるのが寂しいのかな?」
と、ふと疑問に思うことがあります。しかし、ペンギンたちが集団で行動することには深い理由があることをみなさんはご存知でしたでしたか?
ただ寂しくて仲間と一緒にいる訳ではなく、実はペンギンが集団で行動することにはちゃんと意味があったのです。
という訳で、今回はペンギンがなぜ集団で行動するのか理由について少し調べてみたいと思います。
集団行動をする理由

動物園や水族館で飼育されているペンギンの姿がイメージとして定着している私たちにとって、野生のペンギンがどんな生活をおくっているか想像がつきにくいと思います。
「吹雪の中で寒そう」
「海に潜って魚を食べてる」
「みんなで集まって行動してる」
こんなぼんやりとしたイメージがあるのではないかと思いますが、野生におけるペンギンの生活は常に危険と隣り合わせで、いつ命を落としてもおかしくない状況で日々を過ごしています。
水中での危険
魚が主食のペンギンたち。もちろん陸上には餌がないので必然的に餌を求めて水中に潜ることになるのですが、陸上からでは海の中の様子が全く分かりません。
一寸先は闇、飛び込めばそこには獰猛な『ヒョウアザラシ』や食物連鎖の頂点『シャチ』などの天敵が待ち構えている可能性があります。
生きるためには飛び込まなければいけない、けど飛び込んだ先に天敵が待ち構えていたら命を落としてしまう…
そこで考えたペンギンたちは苦肉の策を取ります。
1羽のペンギンが勇気を出して最初に飛び込み、安全を確認出来たら2羽3羽…と続けて入っていく。もし天敵が待ち構えていたら残りのペンギンたちは飛び込むのを諦める。
こうやって集団で行動をすることで群れ全体の被害を最小限に抑えようと考えたのです。この方法なら単独で海に入っていくよりも生存率はグッと上がりそうですね。
出典:https://goo.gl/d8GDbk
水中での連携プレー
ペンギンはもともと鳥類ですが泳ぐ事に特化した体へ進化したので、陸上ではよちよち歩きのペンギンたちも海の中では素早いハンターと化します。
時速10kmというとても素早い動きで獲物を捕食していくのですが、もし単独で行動すれば簡単に捕まえることが出来ず効率が落ちてしまいます。魚も生きているので逃げるのに必死ですからね。
そこで活かされるのがペンギンたちの集団行動です。
仲間と協力し、集団でエサを追い詰め捕食していく。そうすることで狩りの効率が飛躍的に向上するのです。
↓水中での集団行動の様子がこちら
この数で向かって来られたら魚たちもさすがに逃げ場を失ってしまいますよね…
危険を察知
ペンギンは陸上で行動する時、先頭のペンギンについて行く習性があります。道の真ん中に障害物を置いて1つの道を右と左に分断しても二手に分かれず、先頭のペンギンが通った道を辿るように他のペンギンたちはついて行きます。
これは先頭のペンギンが安全だということを本能的に認識して行動しているからだと言われています。
もし先頭のペンギンに何か危険が及んだ場合は、2番目のペンギンがそれを察知して行動を変える。一番前に立つペンギンは後ろについてくるペンギンの矢面に立って、群れ全体を危険から防ぐ役割を担っている訳なのです。
ちなみにこの習性を利用すればペンギンたちを操る事も可能です。
↓ラジコンペンギンに誘導されてしまう様子はこちら
見事について行っていますね(笑)
天敵のいない陸上ではペンギンも警戒心が薄れているのでこういった罠にも簡単に引っかかってしまうみたいです。
子育てはみんなで協力し合う
卵から孵化したばかりのペンギンのヒナたちは『歩く胃袋』と表現されるほどエサを大量に食べるため、親鳥は両親共にエサを獲りに海へ向かわなければなりません。
親鳥が戻ってくるまでヒナたちは放置されちゃうの?と心配に思ってしまいますが、実はペンギンの群れには『クレイシ』と呼ばれる共同保育所のようなものがあってそこにヒナたちは預けられます。
そこには子供のいない大人ペンギンたちがいて、ヒナたちを危険から守ってくれるのです。人間で言うと保育園みたいなものですね。
↓クレイシの様子はこちら
ヒナたちが集まっていてとても可愛らしい光景ですね!
ちなみに見た目が全く一緒のヒナたち。狩りから帰ってきた親鳥はどうやって自分の子供を見分けるのでしょうか。人間から見れば全部同じに見えますよね。
出典:https://goo.gl/KSAKC9
実は鳴き声で子供を判別しているそうです。たくさんいるヒナの中から自分の子供の鳴き声を聞き分けて、一緒に巣へ帰っていくという訳ですね。
寒い時は温めあう
色んな種類があるペンギンの中でも一番寒い地域に生息しているコウテイペンギン。
気温はマイナス60度<、時速200キロの暴風雨にさらされながら生活をしている彼らですが、そんな過酷な寒さから身を守るためにここでもペンギンたちは集団行動を上手く利用しています。
彼らは『ハドル』と呼ばれる集団の円陣を組むことで体を寄せ合い温め合うのですが、中心と外側では気温が10℃も変わってきます。かなりの温度差ですね。
日本でもニホンザルがハドルと似たような猿団子を作りますがこれも同じ原理になります。
しかし、コウテイペンギンたちのハドルは権力のある猿が中心に来るような猿団子とは違って、外側と内側で上手くローテーションをすることにより群れ全体が温まるように工夫されています。
↓コウテイペンギンのハドルの様子はこちら
動画では群れ全体が上手く循環している様子が分かりますね。
こうやって内側と外側が上手く循環しないと外側のペンギンが寒さで命を落としてしまうので、みんなで助け合いながら生きているという訳です。
まとめ

今回のまとめ…
・海に飛び込む時は最初の一匹が安全を確認する
・狩りの時は連携プレーで獲物を追い詰める
・先頭に立つペンギンは群れ全体の身代わり役
・子育ては群れ全体で協力しあう
・寒さをしのぐ為にみんなで寄り添って温まる
可愛らしいペンギンの姿からは想像がつかないような理由がペンギンたちの集団行動には隠されていましたね。
もしかすると「寂しいから仲間と一緒にいたい!」という気持ちがあって一緒にいるのかもしれませんが、厳しい自然界を生き抜く上では仲間と一緒にいることは命に関わる大事なことだったのです。
こういった事情があることを考えながらペンギンたちの行動を改めて観察してみると、また違った角度で見ることが出来て新鮮かもしれませんね。