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パンダを草食にしたのは人間?栄養が少ない笹を食べる理由とは

クマ科としては珍しい草食の動物『パンダ』

ひたすら笹を食べ続ける姿が印象的で『パンダと言えば笹』というイメージが定着しているパンダですが、そんなイメージが崩れてしまうような事実があります。

『パンダの身体は笹を食べるのに適していない』

あんなにモリモリと食べているのに体はあんまり受けつけていない…一体どういう事なんでしょうか。

という訳で、今回はパンダが笹を食べる本当の理由について詳しく調べてみたいと思います。

たくさん食べても消化しきれない

笹や竹などの植物ばかりを食べるので忘れてしまいがちですが、パンダはクマ科に属するので本来は肉を食べて生きるはずの動物です。

内臓も肉食動物と同じ作りをしているので大量の笹を食べても消化できるのはその2割程度。

パンダは一日に約20キロの笹を食べますが、それだけ食べても栄養になっているのはたったの4キロしかないのです。

もちろん一日に必要な栄養としてギリギリの量なので激しい動きも出来ず、ほとんどの時間を『食べる』か『寝る』に当てて省エネモードに入っているという訳なんですね。

でもなぜこんな効率の悪いことをパンダはしているのでしょうか。

せっかく肉食動物と同じ身体を持っているんだから肉を食べたらいいのにと思ってしまいますよね。

 

肉を食べない理由

実はパンダもはるか大昔は笹や竹などの植物ではなく肉を食べて生活していたそうです。

しかし人類や他の肉食動物との生存競争に敗れてしまったため、争う必要がない草食動物としての道をたどる事になってしまったのです。

一説によると、古代の人類の人口が増えるにつれ、パンダが高緯度地域に追いやられたためだという。新たに棲みついたその土地で、ツキノワグマなどほかの肉食動物と獲物を争わなくてすむよう竹食に適応したのだと、ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立動物園のパンダ飼育係、ニコル・マコークル(Nicole MacCorkle)氏は説明する。引用:ナショナルジオグラフィック

こんな話を聞いてしまうとパンダが笹を食べる姿を見るのが少し悲しく思えてしまいますね…

しかし、嫌な思いをしながら無理して笹を食べているのかというと実際はそうでもないようです。

味覚の変化

パンダは何百万年という時間の経過とともに少しずつ肉食から草食に変わっていったのですが、草食動物として生きることを決定づけた大きな出来事あります。

それはパンダが持つある遺伝子の変異です。

その遺伝子が何なのかというと『肉の旨味を感じる』遺伝子で、ある時を境にパンダの『肉の旨味を感じる』遺伝子が機能しなくなったのです。

つまり、肉を美味しく感じない身体になったという訳ですね。

そのため、パンダに肉を与えたら食べる事はあるけれども積極的に追い求めてこないのはこういった理由があるからなんです。

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パンダのウンチは良い香り

先ほど説明したように笹や竹を大量に食べても全然消化できないので、パンダのウンチは臭くありません。

むしろ笹や竹がほとんど消化されずに出てくるので笹や竹特有のいい香りがします。

↓ウンチの実物がこちら

出典:https://goo.gl/hNeVwv

ちなみに、一部ではこの笹ウンチを使って商品化をしているところもあるみたいですね。

パンダのウンチ製品…

▼紙製品
タイのチェンマイ動物園ではパンダのウンチを竹パルプにして紙を作り出しています。
その紙を使ってノートや扇子、しおりなどを作り年間で約90万円ほどの売り上げ生み出すことに成功しています。

▼パンダ茶
飲むのに抵抗があるとは思いますがパンダのウンチから作ったお茶もあります。
お金を出してまで飲みたくない気のするパンダ茶ですが、価格はなんと1杯約2万5000円とかなりの高額。

栄養価の高さと独特の風味が好まれるため、この金額で取引がされているようです。

 

まとめ

今回のまとめ…

・パンダの腸は肉食動物と同じなので笹を食べるのに適していない

・草食になったのは生存競争に敗れた結果

・肉を美味しいと思わないので好んで食べたりしない

・パンダのウンチはいい香りで製品として再利用する地域もある

パンダも過去には色々と苦労があったみたいですね…

同じ人類がパンダの生活圏を追いやってしまったと聞くと少し申し訳なく思ってしまいます。

地球上に残るパンダはあとわずか1600頭

パンダが絶滅してしまわないように今度は人類がパンダの生態を守ってあげないといけませんね。