豆知識

海賊の発祥は?今の世界に海賊はいる?昔から現在までの歴史に迫る!

皆さんはパイレーツオブカリビアンという映画を観たことありますか?

ジョニー・デップやオーランド・ブルームが演じる海賊たちの姿はとてもカッコいいですよね!

女性は胸をときめかせたり、男性はあんな生き様に憧れたりと色んなことを思いながらご覧になったかと思います。

私もつい先日この映画を観たのですが、

「昔の海賊は本当にこんなイメージ通りの海賊だったのかな?」

「海賊が一番栄えていた時代っていつ頃だろう?」

「今の時代にも海賊っているのかな?」

 

と、観ているうちにいろんな疑問が湧いてきました。

皆さんは『海賊』と聞けば、あの日本を代表する有名マンガ『ワンピース』や海賊映画の代名詞『パイレーツオブカリビアン』などを思い浮かべると思いますが、実際の世界観はどんな物だったのかちょっと気になったりしますよね。

という訳で今回は過去から現在に至るまでのリアルな海賊たちについて調べてみたいと思います。

海賊の起源

海賊の始まりについてですが、はっきりとした起源は不明です。

人間が船を作って海に出る、そして他の街と交易を行い始めた時点でそれを奪ってしまおうと考える人は必ずどこかに現れますからね。

ちなみに組織的な海賊行為だと北欧の『ヴァイキング』が一番古いものとして有名で、西暦700年代末頃から海賊のような行為が行われていた様です。

しかし、この頃の海賊船は皆さんがイメージするような海賊船ではなく現在でいうボートやカヌーを大きくしたような船になります。

オーセベリ2
出典:http://4travel.jp/travelogue/10736783

それにこの頃の海賊船には海賊の命とも言える海賊旗は存在していませんでした。

海賊といえばやっぱり海賊旗がなくちゃ始まらないようなイメージですが、ドクロに骨が2本クロスしているあの恐怖の象徴はいったい誰が考えだしたんでしょうね?

 

海賊旗の始まり

海賊旗の始まりについてもハッキリとした起源は不明ですが、テンプル騎士団が生み出したという説が有力になります。

テンプル騎士団とは…

中世ヨーロッパで活躍した騎士修道会の1つ。

聖地エルサレムの防衛やキリスト教巡礼者の保護や支援を目的として設立されたローマ・カトリックの修道会になります。

 

▼ジャック・ド・モレーの遺骨が由来

1100~1300年頃の中世ヨーロッパで世界初の銀行システムを生み出し巨万の富を得たテンプル騎士団。

当時のテンプル騎士団はとても裕福でフランスの国王フィリップ4世にもお金を貸し付け出来るほどの財力があったのですが、力をつけ過ぎたことが仇となってフィリップ4世から弾圧を受けてしまいます。

多くのテンプル騎士団員とともに最後の総長となったジャック・ド・モレーも処刑されるのですが、最後に彼は、

「私は国王を許さない、1年以内に必ず神の法廷に引きずり出す!」

と呪いの言葉を吐いてこの世を去ります。(その言葉の影響か、国王はその数か月後に脳梗塞で倒れ命を落とします。)

その後、テンプル騎士団の生き残りがスコットランドに渡って身を隠すのですが、後になってジャック・ド・モレーの墓を掘り返してみたところ、そこには頭蓋骨と2本の骨がクロスした状態で埋まっていたそうです。

それを見た団員たちが偉大なる総長ジャック・ド・モレーを称え、『ジョリー・ロジャー』と呼ばれる旗として掲げ始めたのが海賊旗の始まりではないかと言われています。

ちなみに生き残った団員たちの中には海賊となる者もいれば石工職人になって身を隠した者(=現在のフリーメイソン)も多く存在します。

そのため海賊とフリーメイソンを繋げる記録が数多く存在し、あの有名なマンガ『ワンピース』もフリーメイソンから物語が作られているのではないかと噂されているみたいですね。

ジョリー・ロジャーの語源…

日本ではあまり馴染みのない『ジョリー・ロジャー』という言葉ですが、欧米では海賊旗の事をジョリー・ロジャーと呼びます。

その語源はいくつか説がありますが、3つの説が今のところ有力なようですね。

・フランス語で「血の色」という意味の言葉が英語に転じた(=ジョリー・ルージュ)

・イギリス海峡で略奪を許可された人達が利用していた船の俗称(=ロジャー)

・悪魔の古い異名(=オールド・ロジャー)

 

海賊の黄金時代

・大型の帆船

・砲口から球を込める大砲

・ドクロマークの海賊旗

・サーベルやカットラスなどの片手剣

・子分はバンダナで船長は広角の帽子

海賊と聞くとみなさんこんなイメージを思い浮かべませんか?

これらは全て海賊の黄金時代と呼ばれていた1650年から1730年ほどまでの海賊たちの特徴を表しています。

日本がまだ江戸時代だった頃に、大西洋のカリブ海では私たちがイメージする海賊たちが海を賑わせていたという訳なんですね。

 

黄金時代に活躍した名高き海賊たち

海賊の黄金時代を支えた立役者たちは数多く存在しますが、その中でも「あ、聞いたことある!」となりそうな名前をいくつか挙げてみました。

 

▼『エドワード・ティーチ』(通称:黒ヒゲ)
エドワード・ティーチはイギリスの海賊で、もっとも有名な海賊の内の一人です。

襲撃の際は剣やナイフ、ピストルなどをめいいっぱい身に付けて大暴れ。たくわえた立派な黒いヒゲには麻の切れ端や導火線などを編み込んでいたそうで、その特徴的な風貌から『黒ヒゲ』というあだ名がつきました。

残忍さも暴れっぷりも人一倍で、最後の死闘では25回以上も剣や銃で傷つけられながらも最後の最後まで暴れまわったそうです。

 

▼『バーソロミュー・ロバーツ』(通称:ブラックバート)
バーソロミュー・ロバーツもイギリスの海賊で、大航海時代の最後にして最大の海賊です。

生涯の略奪数が400隻・5000万ポンドととてつもない伝説の持ち主となります。

バーソロミューの一番の特徴は『掟』で、他の海賊には類を見ないほど厳格なルールを船員に敷いていました。

一部の例を挙げると

・仲間内での揉め事はご法度

・カード、サイコロでの賭博禁止

・安息日には祈りを奨励し、海賊行為は禁止

などを大船団全てに徹底させていました。指導力やカリスマ性がすごく高かった人物だったみたいですね。

 

▼『サミュエル・ベラミー』(通称:ブラックサム)
サミュエル・ベラミーは西インド諸島を拠点として活動した海賊になります。

ベラミーは海賊としては少し変わった人物で、無用な拷問は好まず降伏した相手には船を与えて逃がすという慈悲深い部分がありました。

そんな慈悲深い一面に触れてベラミーの仲間になる敵も少なくなかったみたいですね。

ちなみにそんな慈悲深いベラミーですが海賊としての最期はちょっと残念なものになります。

ベラミーの最期は猛烈な嵐に襲われて海に飲み込まれたことが理由なのですが、実は飲み過ぎが原因で直前に開いた宴会で船員が全員酔いつぶれてしまい嵐に気付かなかったのだそうです。

気付いていれば回避できたかもしれないので、海賊としてはちょっと残念な幕切れですね…

 

▼『ウィリアム・キッド』(通称:キャプテンキッド)
西インド諸島を拠点として活動していた海賊で、キャプテンキッドの別名が広く知られている海賊です。

彼は処刑される寸前に「財宝をある場所に隠した!」と叫んだ事によって「財宝が今でも眠っているのではないのか」という伝説が発生したため有名になりました。

あの有名なマンガ『ワンピース』でゴールド・ロジャーも同じことを叫んでいますが、この出来事がモデルになっているみたいですね。

スポンサーリンク

現代の海賊たち

昔は今のような軍事機器がなかったので海賊たちは好き放題やれていましたが、治安の進んだ現代において海賊たちはどのようにしているのでしょうか。

「海賊という存在はとっくに絶滅したんじゃないか?」と思う人も多いかもしれませんが、実は現代社会にも海賊は形を変えながら存在しています。

治安の良い日本や欧米諸国などの先進国の海域にはもちろん海賊はいませんが、インドネシアのマラッカ海峡やアラビア半島のソマリア沖では現代でも海賊行為が行われています。

マラッカ海峡
出典:http://www.jsanet.or.jp/qanda/text/q1_05.html

ソマリア沖
出典:https://www.sof.or.jp/jp/news/201-250/203_2.php

これだけ技術が進化した時代なので海賊もハイテクな武装が進んでそうなイメージですよね。

まさにその通りで、現代の海賊たちの主な武器は

・小銃   → サブマシンガン、AK-47(自動小銃)

・大砲   → RPG-7(ロケット砲)

・コンパス → GPS

・帆船   → 高速ボート

となります。特にRPG-7がヤバいですね。撃たれたらひとたまりもありません。

日本や欧米諸国のように軍事力のある国では海賊行為は起きませんが、周辺国の海軍の力が弱い地域では海賊を抑止する力が無いので現在でも海賊行為が横行してしまうようです。

 

海賊の数が減ってきている?

これだけ物騒な現代の海賊たちですが、実はあることをきっかけに少しずつその数が減少しています。

近年ではソマリア沖での海賊被害が減少しており、2015年度の海賊被害件数はなんと0件

これには大手寿司チェーンの『すしざんまい』社長:木村清さんによる技術支援の効果があるのではないかとみられています。

▼発展途上国に対する技術支援

現代の海賊たちの多くは漁民出身の人が多く、貧困から海賊行為に手を染めています。

しかし、ソマリア沖周辺はたくさんの魚が生息しているので漁民にとっては絶好の漁場。なのになぜ貧困が起きてしまうのかというと、魚を釣り上げてもそれを加工・保存する技術がなかったのでまったくお金を稼ぐことが出来なかったのです。

いくら海賊たちを蹴散らしても貧困によって海賊行為に手を染める漁民はあとを絶たなかったのですが、そんな負のスパイラルを絶ったのが『すしざんまい』社長:木村清さんによる技術支援です。

いろんな試行錯誤を繰り返しながら、3年という歳月をかけて現地の人たちと共に漁業でお金を稼ぐ仕組みを作りだしたのです。

漁業でお金を稼ぐ方法さえ分かれば海賊たちもわざわざ海賊行為を冒してまでお金を稼ぐ必要はありませんからね。

力で解決するのではなく知恵を使って平和的な解決へ導いた行動はとても素晴らしいことだと思います。

 

まとめ

今回のまとめ…

・海賊の起源は不明(西暦700年代のヴァイキングが有力)

・海賊旗はジャック・ド・モレーの遺骨の配置に由来している

・海賊の黄金時代は1650~1730年頃

・現代にも海賊はいるが近年減少傾向にある

海賊の歴史は古くからあり、そして現代にも存在していた事にはビックリでした。

やはり海という場所がある限り海賊という存在はなかなか無くならないのかもしれませんね。