2018年9月12日放送の今回は『音』をテーマに各分野の先生たちが様々な知識を披露してくれました。
・自然の音を聞きながら生活すると寿命が17%延びる
・認知症には懐メロを聞かせるのが効果的
・聞こえていないはずの音には人の心を励ます効果がある
など、今回も「ホンマでっか!?」な情報が盛りだくさん!
という訳で今回は音に関する様々な知識をまとめていきたいと思います。
自然の音を聞きながら生活すると寿命が17%延びる

▼生物学評論家:池田 清彦先生の見解
この説はマウスによる実験結果なので必ずしも人間に当てはまるという訳ではありませんが、
①:実験室における通常の飼育環境
②:風・水・鳥などの自然音が聞こえる飼育環境
③:②の環境音から2万ヘルツ以上をカットした飼育環境
それぞれ3つの環境下でマウスを飼育したところ、
①:変化なし
②:寿命が7%延びる
③:寿命が17%延びる
という実験結果が出ました。
この結果から自然の音を聞くことが体にとってはとても重要だという事が分かると思いますが、もう一つ分かる事は『聞こえない音を聞きながら生活をする事が重要』だという事です。
マウスが普段使用している音域は2万ヘルツ以上になるのですが、③の環境ではその2万ヘルツ以上の音をあえてカットした事によりマウスの寿命がさらに延びたのです。
ちなみに、人間はマウスと違って2万ヘルツ以上の音が逆に聞こえないので2万ヘルツ以上の音を聞くことが重要となってきます。
2メガヘルツの音を聞かせると認知症のリスクが減る

▼脳科学評論家:澤口 俊之先生の見解
これもマウスによる実験段階の話となりますが、2メガヘルツの音をマウスに聞かせると認知症になりにくくなるという実験結果が出ています。
2メガヘルツとなれば音というよりも振動に近いモノとなるのですが、この振動が脳に良い影響を与えるため認知症のリスクが軽減される傾向にあるようです。
しかし認知症の実験はマウスで成功しても人間に当てはまらないという事が多いので、同じことが言えるかどうかは難しいところです。
CDは2万ヘルツ以上の音がカットされている

▼環境評論家:武田 邦彦先生の見解
2万ヘルツ以上の音が体に良いとありましたが、CDに収録されている音は2万ヘルツ以上の音がカットされています。
昔流行ったアナログレコードは聞こえない高音域が収録されてもレコードの大きさ自体は変わらないのでカットされずに収録されていたのですが、ディスクをコンパクトなサイズへ改良するためには2万ヘルツ以上の聞こえない音をカットする必要があったため2万ヘルツ以上の音がCDには収録されていないのです。
ちなみにこの2万ヘルツ以上の聞こえない音というのは実際には聞こえていなくても、実は人間の心には届いています。
感度がものすごく高い人たちはこの変化に気づくようで、そういった人たちがCDの音ではなくアナログレコードの音を追い求めるのです。
一般的には森林が放つニオイによって気持ちがリラックスすると認識されていますが、最新の研究によるとこのリラックス効果は森から出ている2万ヘルツ以上の音が原因ではないかとされています。
認知症には懐メロを聞かせるのが効果的

▼音楽療法評論家:佐藤 正之先生の見解
日本の認知症患者は増加傾向にあり、約10年後には現在の500万人から1000万人まで増えると言われています。
これは治す薬が無いことが大きな要因となりますが、ちょっとでも症状を和らげるのに効果的な方法が実はあります。
それが音楽療法です。
特に効果的なのが『懐メロを聞くこと』で、患者さんが一番充実した人生を過ごしていた時期の音楽に触れると、
・物忘れ
・徘徊
・暴言
などの認知症の症状が和らぐ傾向があります。
これは予防としても期待され、聞くことよりも歌うことの方がより効果的です。
▼環境評論家:武田 邦彦先生による補足
大きな声で歌うことは認知症の予防だけでなく誤飲の予防にもつながります。
飲み込む力が鍛えられるので、老人たちがカラオケで懐メロを歌うのはとても良い事なんです。
聞こえていないはずの音には人の心を励ます効果がある

▼心理評論家:植木 理恵先生の見解
アメリカでの実験となりますが、観客が誰もいない球場でAチームとBチームに分かれて試合をさせた際に、
Aチーム:『この試合を1000人の観客たちがモニターで応援していますよ』と事前に伝えておく
Bチーム:何も伝えない
という条件で2つのチームに試合をさせたところ、Aチームの方が7~9割の確率で勝利するという実験結果が出ました。
つまり、観客たちの応援の声が実際に耳に入っていなくても力が湧いてくるという訳です。
これは、
誰かが応援してくれているという情報⇒知識の脳領域
実際に耳から入ってくる応援の声⇒音を聞く脳領域
この2つの脳領域が近似しているため、知識の脳領域が活性化したことにより音を聞く脳領域が影響を受けて一緒に活性化する事が原因ではないかと考えられます。
もし「忙しくて○○の応援に行く事が出来ない…」という状況になったとしても、その人に「応援してるよ」と一言を伝えるだけでその人の力になる事が出来るという訳ですね。
近い将来電気自動車には名前に合った音が付く

▼新オノマトペ評論家:坂本 真樹先生の見解
最近の自動車業界(特に電気自動車)では静音化が流行っています。
今後、技術がさらに進化していくと車の音がほとんど無音に近くなると思うのですが、そうなってくると車の個性を出す為に『車のエンジン音』や『扉の開閉音』に音をあえて付与していくという可能性が出てきます。
例えば車が『ポヨン』という名前だったとすれば、
●エンジン音
通常の場合:ブオォォン!
ポヨンの場合:ポヨヨン♪
●扉の開閉音
通常の場合:バタン!
ポヨンの場合:ポンッ♪
といった感じです。
名前にあった音を付与することで車のイメージが全体的にアップし、顧客満足度の向上にもつながってくるのです。
ちなみに効果音だけでなくメロディを選んだり、自分の趣向にあった音へ自由にカスタマイズする事が出来るようになるのも近い将来可能だと思われます。
新入社員が会社を辞める理由は上司のキーボード音

▼若者文化評論家:原田 曜平先生の見解
新入社員が会社を辞める理由の一つに『上司のキーボード音が気になる』があります。
ある調査によると『職場で周囲の人が立てる音が気になるか』という質問に対して気になると答えた人が約55.5%、そしてその中で最も多かったのが『キーボードを叩く音』という結果だったのです。
中高年世代のキーボード音は特に大きく、エンターキーを叩きつけるような音が新入社員にとってはストレスと感じてしまうようです。
ちなみにキーボード音以外にも、
・鼻をかむ音
・すする音
・咳払い
・舌打ち
・ため息
・貧乏ゆすり
などの音が気になるという結果も出ています。
人はセミの鳴き声のテンポが速くなるとイライラする

▼生物評論家:池田 清彦先生の見解
ミンミンゼミやツクツクボウシなど、セミの多くは鳴くとテンポがどんどん速くなります。
人間はテンポが速くなると気持ちが興奮してしまうので、セミの鳴き声を聞いていると場合によってはイライラしてしまうことがあります。
逆に、鈴虫などのゆっくりとした鳴き声はテンポが速くなったりしないので聞いていると心が落ち着くのです。
医薬品の商品名は『ン』で終わるものが多い

▼新オノマトペ評論家:坂本 真樹先生の見解
消費者の購買意欲を高めるためには商品名の『音』を意識することが大切です。
医薬品の場合だと大切なのは『病気が治ること』なので、
『ン』で終わる=病気が終わる(治る)
という目的から医薬品の商品名は『バファリン』のように『ン』で終わる事が多いのです。
ちなみにオムツの名前は、
・ムーニー
・パンパース
・グーン
などの伸ばし棒がよく使われていますが、この伸ばし棒はオムツの伸縮性をアピールすることが目的とされています。
オノマトペは女性に効果が現れやすい

▼心理評論家:植木 理恵先生の見解
オノマトペの音の効果は男性よりも女性の方が影響が出やすいです。
男性:視覚が優位
女性:聴覚が優位
となるので、例えば同じ飲み物を飲む時も氷の入ったコップに注いでカラカラカラという音を聞きながら飲む方が『良いものを飲んだ!』という気持ちが女性は強くなるのです。
ちなみに、女の子の場合は生まれて1時間で音の違いを聞き分けることが出来るようになります。
若者は砂のジャリジャリ音を聞きながら通学している

▼若者文化評論家:原田 曜平先生の見解
ASMRと呼ばれるのですが、最近は音フェチ動画というものが若者の間ですごく流行っていて、その中でも特に注目されているのが『スライムの中に細かい石を入れて揉むジャリジャリした音』になります。
※ASMR:布が擦れる音、雨の音、焚き火の音、ハサミで物を切る音などの音を聞くと心地よくなる現象のこと
他にも『耳かきされている時のゴリゴリ音』や『鶏肉を食べている時のそしゃく音』などの音フェチ動画もあります.。